【後半ネタバレ】『ブルーローズは眠らない』期待をはるかに上回る大傑作だった
『ブルーローズは眠らない』市川憂人
この作品は
- 『2017 本格ミステリ・ベスト10』3位
- 『週刊文春ミステリーベスト10 2016年』5位
- 『このミステリーがすごい!2017年版』10位
にランクインした『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾ですね。
この作品も
- 『2018 本格ミステリ・ベスト10』5位
- 『このミステリーがすごい!2018年版』11位
にランクインしています。
あらすじ
両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックは、遺伝子研究を行うテニエル博士の一家に保護される。彼は助手として暮らし始めるが、屋敷内に潜む「実験体七十二号」の不気味な影に怯えていた。
一方、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣は、不可能と言われた青いバラを同時期に作出した、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査してほしいという依頼を受ける。ところが両者への面談の後、施錠された温室内で切断された首が発見される。扉には血文字が書かれ、バラの蔓が壁と窓を覆った堅固な密室状態の温室には、縛られた生存者が残されていた。
各種年末ミステリランキングにランクインした、『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾!
こんな感じですね。
マリアと漣の活躍が前作に引き続き見られるものはうれしいですね。
私はこのシリーズは3作目が出ると同時にシリーズを大人買いしたので一気読みしました。その中で一番好きな作品がこの『ブルーローズは眠らない』です。
ただし、ここで注意‼‼‼
1作目から読みましょう(^O^)/
このシリーズは本筋のトリック等は基本的に順番どおりに読んでなくてもOK
ただ、順番破ると
「こいつ誰っ?」「えっ、○○って何?」となるところがあるので素直に1作目から読むのがベター。
ネタバレレビュー
以下、ネタバレします。
この作品の肝となるのは、やっぱり偽装殺人ではないでしょうか。
あれが分かると急にそれまでのもやもやが去っていきますね。
この作品は、2つのストーリーが交互に書かれていました。
①プロトタイプ
②ブルーローズ
この2つですね。
ここまでくると予想できますが、絶対この2つのストーリーは関係しますね。しかも①が②の過去かなあと…
実際には①アイリス→②テニエル博士
①エリック→②クリーヴランド牧師
ですが、私は一切気づきませんでした。
一応言い訳のような理由があるのですが…
テニエル博士男らしいですよね…これが一番の理由です。
初登場なんて
「そのように予定を組ませてもらった。こちらも忙しいのでね」
会話を聞いていたらしい。ドアの前で、声の主がマリアたちを愉快げに見回した。
外見年齢は四十過ぎ。白髪の交じったダークブラウンの髪。背は一七〇センチより低め。顔も身体も痩せていて、健康的とはいいがたい風貌だ。(『ブルーローズは眠らない』(東京創元社)P34)
どっちともとれる。ただ、しゃべりかたが男らしいかなと思って勝手に男だと思っていた。
ここで気になるのは、果たしてこれは作者の意図なのか…私が読み落としている可能性も高いな。
まあ、気を取り直して
この二人が偽装殺人を行います。嘱託殺人ともいうのかな。
過去に自分の両親を殺した犯人へジャスパーへの復讐。
ジャスパーが犯人っていうのは変わらないのですが、元のもとをたどるとやっぱりエリックにたどり着いてしまうんですよね。エリックの後悔が身に染みるようでとてもつらい。
この話、誰が一番つらいかっていうとエリックなんですよね。
こうするしかなかったけど、ああすればよかったっていうのがあまりにも多すぎる。
これからもし私が青い薔薇を見たら素直に綺麗といえるのか。
不可能と言われたブルーローズ
『危険 触れるな』